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◆Poetry
はじまりの森
目の内側をやさしくつらぬいて夜は明け
鏡はわたしたちをうつすかわりに
見たことのない王国を広げたのだった
まばたきを繰り返すその度に
硝子体に乱立してゆく樹木
網膜にはじけとぶ松の実
わたしたちの眼球はさみさみと露草に濡れている
ほら 目を瞑って
まぶたの裏に映る景色は黒?それとも白?
ここまできたの初めてだよね
行ったら帰って来られないところまで来ちゃったね
隣で笑いながらささやくのは 誰だろう
あらゆる方向の重力にそそのかされるので
わたしたちは自分たちの引力を作り出すため
お互いの両手をしっかり繋いでぐるぐるまわった
それから目がくるめいて螺旋を描きながら
湖に落ちたのはあなただったのかわたしだったのか
夜が明けたのはついさっきだったのに
耳のなかでは湖が揺れて
もうこんなにも闇が深い
湖のなかは気持ちいいね
裏側まで濡れた目だまをわたしたちは互いに入れ替える
わたしの右目あなたの右目わたしの左目あなたの左目
なんて素敵な遊びなんだろう
目を開けると水晶体がぱりんと音を立てて
月が割れ夜が割れあなたが割れ世界はこなごなで
欠片でざりざりする湖にうつぶせになって浮かんでいる
あれはわたしかもしれない
だけど
そんなに脆いわけないでしょう?
鏡の中に飛び散ったふたりを拾い集め
わたしたち嘘の記憶を植え合ってやっぱり
両手をしっかり繋いでぐるぐるまわって
ね、それから
どこに行くんだろう
ね
わたしたちのはじめての目まいは
こんなふうにはじまった
~詩集『耳のなかの湖』より
☆このたび第二詩集『イバラ交』を上梓いたしました。
思潮社の編集者、藤井一乃さん、装幀と写真の毛利一枝さん、
帯文を書いてくださった川口晴美さんには、たいへんお世話になりました。
その他にもいろんな方に支えられ励まされ、無事にかたちにすることができました。
心からの感謝を…
ご縁がございましたら、お手にとっていただけるととても嬉しいです。
思潮社HP*新刊情報
http://www.shichosha.co.jp/newrelease/item_1040.html
「ねえ、聴こえる?」
爆音の虹が彼方ではじまる
~「あいのことばをとりもどすために、少女は」より
NEWS2013
☆福岡県立美術館の「江上茂雄-風ノ影、絵ノ奥ノ光」展の展覧会会場におきまし
て、詩の朗読をいたしました。(2013年10月26日)
江上さんの素晴らしい絵の世界に身を沈め、5篇の詩をつくりました。
下記サイトにて、朗読会の様子や作品の一部がご覧になれます。
http://egamishigeoten.blogspot.jp/2013/11/blog-post_20.html
☆フランス、パリのGalerie SATELLITEにて開催中のグループ展「第11回 ヴィジュアル・ポエジィ・パリ展」に『百ページ目の雨』という作品を出展中です。デザイナーの森美由紀さんにとっても素敵な墨絵を描いていただきました。計9枚も…感謝です!! (監修*浦貴文氏)
会期は9月21日まで。もしパリにいらっしゃる方はぜひ…☆
Galerie SATELLITE
http://www.galeriesatellite.com/
☆『I AM GIULIATTA. THE DRIVE ART』の映像作品です。
http://tsukishiro.net/#/14
☆昨年より参加中のAlfa Romeoのアートプロジェクト『I AM GIULIATTA. THE DRIVE ART』。
1年間を通してWEB上でのみ公開された13組のアート作品が、GIULIETTA(実車)とともに4月17日より4月23日まで、青山スパイラルガーデンにて展示中です。多彩な作品の数々をぜひご高覧くださいませ。私は、WEB上で発表した映像作品のほかに、浦貴文氏と森美由紀氏のアートディレクション&デザインによる詩のテキストのパネル展示、同じく両氏による詩の一片と写真(南志保氏の画像から)のインスタレーション作品を出展しております。いずれも、多くの方々に支えられることなくしては完成することのできなかった作品です。
心より感謝。。。
皆さまのご来場を心よりお待ちしております!
『I AM GIULIATTA. THE DRIVE ART』
http://www.alfaromeogiulietta.jp/thedriveart/
フランス、パリのGalerie SATELLITEにて開催中のグループ展「第11回 ヴィジュアル・ポエジィ・パリ展」に『百ページ目の雨』という作品を出展中です。デザイナーの森美由紀さんにとっても素敵な墨絵を描いていただきました。計9枚も…感謝です!! (監修*浦貴文氏)
√浦 歌無子(うら かなこ)
福岡生まれ。1997年より自ら装丁を手がけた作品集を発表。朗読活動も行い、ミュージシャン、VJ、料理研究家など、ジャンルにとらわれない多岐に亘るフィールドで共演。また、絵画から着想を得た詩を創作し美術館内で朗読したり、五十音順のタイトルによる50篇の詩歌をギャラリーに展示するなど、言葉との新しい触れ合いを提案している。
主な活動
◆リーディング(カッコ内は異分野とのコラボレーション)
「詩のボクシング」福岡大会準優勝
「スタードームフェスティバル」
「短歌の祈り/詩の言葉」
「雨の匂い 虹の匂い vol.2」
「TOKYOポエケット」
「繭 ―蜜色の標本」(デザート)
「脈拍~音楽としての詩/詩としての映像」(映像)
「彼の背中/彼女の肩」(音楽)
「耳と指」(踊り)
「水の月」(書とスイーツ)
◇美術館でのArt Reading
「エッシャー 空間泥棒の挑戦」
「シュルレアリスム展~心を解き放つ旅」
「高島野十郎 ―至福のであい」
◆展覧会
「手のひらサイズの詩集展」
「~あるいは旅人・展」
「少女採集」(※インスタレーション「五十音少女」(2010年)「花娘奇譚」(2011年))
その他、新聞や雑誌での詩・書評・コラムの執筆、観光ポスター・企業の企画ポスター等への詩作品の提供、展覧会におけるオープニングパーティーでのリーディングなど。